2023-01-01から1年間の記事一覧

写景(3) 夜の小道

昨日で旧メモ帳や紙片の整理が終わった。ブログ継続日数24日。日々の閲覧数はほぼ1名、ときおり2名のこともあるが、3名になったことはない。いささか、さびしくはあるが、もとより多人数の関心をひくブログではなく、独りよがりの記事内容だとの自覚はある。…

輯景(2) 公園

公園前の道路の脇に、配達便の車が停車中。赤いテールランプが点滅している。青い制服の若い男のドライバーが、荷台の荷物をより分けている。スクーターがその脇を通り抜けて行く。犬連れの中年の女がドライバーを見て、それから民家の塀越しに、ふり仰ぐよ…

輯景(1) 老女

「団地の並木道」 冬枯れの落葉し切った並木が、団地の出入り口へと続く。その道を老婆が買い物カートを、背を丸めて押していく。高台の居住棟エリアへの坂道を、中学生くらいの制服姿の少女が登っていく。並木の枝越しに遠く山の稜線が見えている。団地の外…

覚帖(十八) 休日の大池公園

昼を過ぎたばかりの空は灰色一色。芝生の上で、二人とも小学生くらいに見える少年と少女がバトミントンをしている。辺りにはゆるい風が吹いている。そのせいもあってか、二人の羽根のやり取りのラリーは、せいぜい一度か二度しか続かない。彼ら二人の周りで…

覚帖(十七) 公団住宅前バス・スタンド

辺りは日暮れて、バス・スタンドで若い女が一人だけバス待ちしている。女は、白いマスクをした顔を俯けてスマホを見ている。脇に立つバス停表示灯が、佇む女をほの明るく照らし包んでいる。女から真横に十メートルくらい離れて電話ボックスが立つ。女とその…

覚帖(一六) 住宅地域内の通り道

日暮れどき、住宅地域内の道を中学生くらいの少年が歩いて行く。そのかたわらを、一人の少女が背後から足早に通り過ぎる。そして少年の七、八メートル前で立ち止まり、振り向いて彼を見る。少女は四、五歳、短パンにtシャツ。肩にかかる髪は黒いが、その顔…

覚帖(十五) 団地の駐車場」

雨上がりの夕刻の空に星がまばらにでている。建ち並ぶ居住棟の外付けの廊下や、非常階段はすでに常夜灯で明るい。出入口の一画の狭い駐車場内に、冬枯れの落葉し切った丈の高い立木が一本ある。その枝に何か白い布のような物が一つ絡まっている。そばの外灯…

覚帖(十四) 大通りの歩道橋

夕暮れどき、大通りに架かる歩道橋の縁から、若い男がバスターミナルの方を、ちょっと放心した感じに見下ろしている。そこでは赤錆色の場内灯のもと、バスが数台停車して出待ちしている。同じ敷地内の閉店間近のマーケットや、銀行のATMコーナーのウイン…

覚帖(十三) 団地前のバス停

道路沿いの団地の駐車場を囲んで、松の木が十五、六本も植わっている。午後の六時過ぎ、風はなく松の葉叢は微動だにしない。広い石垣の面に松の樹影が色濃く落ちている。芝生の常夜灯や掲示板の明かりが薄闇に浮かぶ。駐車場の背後の居住棟の窓明かりは、ま…

覚帖(十二) 丘道の公園前の駐車場

夕方、坂道の途上にある公園前の駐車場には車も、人影もない。公園はすでに閉門している。駐車場の隅にコカ・コーラと白抜きの英文字で書かれた、赤いボディの自動販売機が一台設置されている。丈高い竹林の葉叢が、風に煽られてこやみなく揺れ、ざわめく。…

覚帖(十一) 脇道のマーケット前

山の端に浮かぶ大きな雲に、落日の残光が朱く照り映えている。肌寒い夕暮れの風が吹く。マーケット前広場の常夜灯はすでに灯っている。ワイドな外ガラスの壁面を透かして、店内を右に左に歩く客たちの様子が見える。駐輪場の脇に植わる樅の木のそばに、若い…

写景(2) 街のオープン・カフェ

覚帖(十) 屋外運動場

川沿いのグラウンドを囲む丈高いフェンス越しに、川向うの丘に建ち並ぶ団地の居住棟が見える。その背後高くの山稜付近の空は、夕暮れて茜色に染まる。川堤の桜並木には、まだ紫紺のサクランボが残る。木の下のサツキは、赤い花が満開。無人の野球グラウンド…

覚帖(九) マーケット前の通り道

小雨がパラついている。空は灰色の雲に覆われているが、明るみ始めてもいる。石畳が雨に濡れている。マーケットエリアには立木が多い。初夏の葉群れの色は濃い緑。店先の長い庇の縁から雨だれがポツリポツリとおちる。銀行のウインドウに、笑み顔した若い女…

覚帖(八) 大池公園の遊歩道

池の周囲の丈高い木立越しの空は夕焼けている。中天に月が掛かっている。山の稜線をずっと右にたどり行く端から拡がる街の空は、濃いブルーに染まる。高台に建つマンションに、居室の明かりがちらほら灯っている。風はなく、遊歩道沿いに茂る葦の葉はそよと…

覚帖(七) S町イオン店内

午後、店一階のイート・イン・コーナーに客は数人だけ。隅の席に中年の男女のカップルがいる。女が紙袋の開けてベージュのブラウスを取り出す。女はボタンにからめられたタグを指にして、つかのま見つめる。対面の男はテーブルに書類を拡げ、スマホとそれを…

覚帖(六) 大通り十字路交差点

新興住宅地の向こうに、暮れなずむ山の稜線があわく判別できる。電話ボックスが、十字路交差点に位置する公園の入り口にポツンとある。中は無人、ボディーの色は緑色。通りすがりの老男が、その箱に三メートルぐらい離れてデジカメを向ける。構えてすぐに三…

覚帖(五) 公園の遊び場

公園の砂場やブランコのエリアに子供たちの姿はない。が、奥のグランドでは、四人の少年たちがキャッチボールして遊ぶ。グランドを囲むフェンスのかたわらに、子供用の自転車が列をなす。公園脇の道路をバスや車が行き交う。ジャージ姿の老男が園内を横切り…

覚帖(四) 大池公園

落陽がしだいに山の端に近づく。長く白い帯状の飛行機雲が薄く夕空に浮かぶ。風が吹き池周りの樹々先端の枝葉が揺らめく。池面がさざ波立つ。水面に落ちた竹林の影がぼやける。池の周囲の常夜灯はまだ点灯していない。公園入り口そばの遊び場から少女たちが…

覚帖(三) 団地前のマーケット

八軒棟続きの店は軒並みシャッターを下ろしている。夕暮れ時、あたりに人影はまったくない。自販機の灯りがブラインドを下ろした集会所らしき建物のガラス窓に映る。その背後のずっと向こうに、山の稜線が見える。敷地内の植樹は冬枯れて葉は一枚もない。と…

覚帖(二) バスターミナル構内

通行人もまばらな夜更けのバスターミナル。構内を外灯がほの赫く照らす。通路の石畳に、間を置いて丈高い植樹の影が落ちている。突風に葉影が揺れる。ふたたび静止したそれを通行人の靴が踏む。バスが構内に入って来る。黒のジーンズの若い女が通り過ぎて行…

覚帖(一) 丁字路交差点

夕陽が山の端に沈みかかる。残光が山から民家の屋根、バス停の前にある広場の樹々の葉叢へとたどりくる。道路向こうの民家の側壁全面に、夕陽が鋭く反射してキラめく。白いちぎれ雲が夕空に停滞している。ときおり緩い風が吹き、広場の立木の枝葉の先端をさ…

写景(1) 夜の鋪道

常景(十九) 住宅地域への小道

色褪せた緑の葉叢の中に、落花前の萎えた赤い花弁をいまだしぶとく残した椿や、冬枯れてはいても、すでに芽吹きはじめた桜の樹などが、小道の両脇に立ち並ぶ。その道の中ほどを、一人の女がベージュのジャケットの背中に垂らした後ろ髪に、両手をあてながら…

常景(十八) 十字路の横断歩道

横断歩道の青信号が点滅し始める。黒いダウンジャケットに両手を突っ込んだままの若い男が、小走りに渡って行く。その歩運びに合わせるように、左折の車が減速もせずに、男のニメートルぐらいの背後を駆け抜ける。いま、男児の手を引く若い母親らしきと、中…

常景(十七) マーケットのレジ

中年の男が、レジカウンターの端に買い物籠を置く。精算を済ませた先客の中年の女が、ほとんど籠に満杯の商品(一番上に、肉のスライスのパック、ちらし寿司のパック、バームクーヘンの袋詰め等々)を、両腕に抱えレジ前の窓際の長テーブルに運ぶ。レジ打ち…

常景(十六) 放水路沿いの小道

大池公園そばの四ツ辻からの小道を、三歳くらいの幼女がときおり軽くスキップしたり、小走りしたりしながら歩いてくる。幼女は、ふと立ち止まり、道端にかがみこむと、何か小さな物を指につまみ上げうしろを振りむく。そして、それを目先にかかげて、近づい…

常景(十五) 丁字路交差点

夕刻の丁字路交差点に架かる歩道橋の真ん中あたりに、夫婦らしき老男・老女が手すりに身を寄せ、直進方面を見やっている。ヘッドライトを点灯して通過する車の多くは二人の目下で、向かって右に折れてバスターミナルや商店街のあるほうへと流れて行く。老男…

常景(十四) 裏町通りの曲がり角

裏町のゆるい坂道を、バスや乗用車が間遠に行き交う。坂の下方、脇道への曲がり角を少し入った民家の壁沿いに、飲み物の自動販売機が二台設置されてある。立ち止まった一人の顎マスクの老男がコインを一枚投入し、赤いラベルのボタンを押して、受け口から缶…

常景(十三) マーケット前の出店

マーケットのドア前に、天幕だけの簡易テントが一張り立っている。長テーブルに、一山いくらのざる入りみかん、床に籠入りの白菜、ピーマンなど、農協の農産物が置いてある。五分ほども品定めしていた老婆が、ニンジンを一袋店の手提げ籠に入れ店内へと入っ…