輯景(2) 公園

 公園前の道路の脇に、配達便の車が停車中。赤いテールランプが点滅している。青い制服の若い男のドライバーが、荷台の荷物をより分けている。スクーターがその脇を通り抜けて行く。犬連れの中年の女がドライバーを見て、それから民家の塀越しに、ふり仰ぐようして枝垂れ桜の木を見る。枝の蕾がほころび始めている。街路樹越しに見上げる空に白い雲が浮かぶ。公園内の芝生で少年が二人、サッカーボールで遊んでいる。

「住宅地域の公園」

 驟雨はいまだ止まず、地面の水溜りにしげく波紋を描いている。が、公園内の丈高い木立から覗く夕空は明るみ始めている。遊び場に付設の小さな東屋のベンチで、三人雨宿りをしている。風はない。眺めやる団地の、高い給水塔の背景の空に朱味が射し始める。水溜りの波紋が小さく間遠になって行く。その丸鏡のような水面が、静止した緑の樹影をクッキリと映しだし始める。雨宿りの者たちが、園内に散らばって行く。

「大池公園裏口」

 強めの風が吹いている。公園を囲む樹々の葉群れが大きく波立っている。鳥が一声鋭く囀る。午後の空は、鱗状の厚い雲に覆われている。雲の色は、白、それから煙霧のような灰褐色。雲の切れ目の所々から青空が覗く。洩れ出ずる陽の光が雲の縁を輝かす。風は止むことなく吹き続ける。